新しい視点で技術者教育を推進する 

石崎研究室:研究テーマのご紹介introduction

マイクロ波フィルタ

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携帯電話端末で使用される米粒より小さい超小型フィルタ、基地局で使われる超高性能フィルタなど、マイクロ波フィルタは用途・目的に応じて様々な種類があります。石崎研究室では、大小さまざまなフィルタの研究開発を行っています。たくさんの電波が飛び交う中、フィルタは必要な電波だけを取り出すという非常に重要な働きをしています。携帯電話などの無線機の性能を決めるキーデバイス開発を世界最先端技術でリードする。新時代のIT文化は、ここから生まれてきます。


マイクロ波パワーアンプ

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マイクロ波パワーアンプも、携帯電話におけるキーデバイスです。端末では連続通話時間に大きく影響します。また、基地局でも消費電力を減らす高効率化が強く叫ばれています。もし、世界中の携帯電話基地局パワーアンプの高効率化ができると原子力発電所数基分の電力をセーブすることが出来るという試算もあります。
また、マイクロ波パワーアンプは、通信用途だけでなく、マイクロ波加熱装置としても大変有望です。マイクロ波加熱では電子レンジが身近にありますが、電子レンジでは、現在でも、マグネトロンと言われる真空管が使われています。石崎研究室では、これを半導体化して長寿命・高信頼性化を図ろうとしています。これが出来ると、医療用や工業加熱用への用途が拡がり、例えば、バイオマスの生成などに応用できるため、ECO社会の構築に貢献できます。


メタマテリアル・人工誘電体

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メタマテリアル・人工誘電体は、自然界に存在しないような物質定数をもつ材料を、人工的な微細構造を作り上げることによって実現しようというものです。メタマテリアルは、自然界とは電磁波が進む方向が逆向きになり負の屈折率を示す、「左手系媒質」というもの。周波数が低くなるほど波長が短くなるという、常識とは全く逆の現象を発生させます。また、人工媒質は、「右手系媒質」ではあるものの、自然界では存在しないような大きな誘電率を持つもの。これも、波長を非常に短くできるという特徴を有しています。石崎研究室では、波長が短くなるという、この特徴を利用してフィルタの超小型化を図ろうとしています。
メタマテリアル・フィルタでは、複合右手系・左手系伝送線路(CRLH-TL)からなる共振器を低温同時焼結セラミック(LTCC)基板内に構成しています。また、人工誘電体フィルタは樹脂多層基板内に構成しています。どちらも、大きな基板の中に多数のフィルタを一括して製造できるため、一括大量生産による定コスト化が可能であり、将来非常に有望と思われています。


ミリ波情報エネルギー伝送システム

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ミリ波情報エネルギー伝送システムは、制御局(基地局)からミリ波電波で情報とエネルギーを送信し、端末側では受信したエネルギーを用いて情報を送り返すというシステムです。例えば、家庭内では、基地局を壁に取り付け、部屋内に多数設置したバッテリーレスセンサー端末と情報をやり取りするセンサーネットワークとして利用されます。
具体的な利用例としては、温度センサーや照度センサーを設置し空調や照明を省エネで最適動作させたり、防犯センサーを設置してセキュリティーシステムを構築します。或いは、ひとり暮らしのお年寄りに医療センサーを取り付けた安心ジャケットを着用してもらい、見守りシステムを構築します。
電波でエネルギーを効率良く伝送するには、電波が空間に広がって撒き散らされないようにします。そのため、超高性能アンテナで電波のビームを絞り、スポット的に電力を送ります。ミリ波フェーズドアレイアンテナは、そのような超高性能アンテナの一例です。フェーズドアレイアンテナでは、配置された多数のアンテナ素子を位相差をつけて給電し、各アンテナ素子から同相となる方向にのみ、強い電波を送ります。
このようなシステムの普及には、低コスト化が重要です。フェーズドアレイでは、多数のアンテナ素子それぞれに無線機が必要ですので、より一層の低コスト化が求められます。
石崎研究室では、同システムの基地局無線回路の開発を行っており、低コストミリ波パワーアンプ、トランジスタスイッチ回路の研究を推進しています。


3−Dフリーアクセス無線電力伝送システム

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室内にある携帯電話やノートパソコンなどの携帯端末に対して意識せずに常時給電を行うことができるシステムとして、3−Dフリーアクセス無線電力伝送システムを研究しています。このシステムでは、携帯端末の場所や角度に依らず安定に給電できることが重要です。電力伝送を効率的に行うために、送電と受電にそれぞれ共振器を用いる共振型無線電力伝送技術を用います。
送電側共振器は、大きさが床一面、或いは壁一面のスパイラルコイル。巻き方を工夫することによって、どの場所でも効率よく送電できます。また、どの角度でも給電できるように複数の送電コイルを組み合わせます。
受電コイルは、携帯端末内に実装するため、超小型化を図ります。ただし、送電効率を劣化させないように、共振器の良さを維持することが必要です。
さらに、複数台の携帯端末に同時に給電出来る方式の研究を進め、実用化を目指したいと考えています。


移動型無線電力伝送システム

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移動型無線電力伝送では、道路の中に埋め込んだマイクロストリップラインに高周波エネルギーを流し、それを電気自動車のボディーの底面に取り付けたカップラーでエネルギーをピックアップし、電気自動車を充電しながら走行させるというものです。
例えば、北海道から沖縄までの高速道路にこのシステムを設置すれば、途中で充電する必要が無くなります。
広い意味では共振型電力伝送システムですが、線路結合により1次元的に長い距離をカバーできるような独自の構造となっています。
既におもちゃの電車を使ったデモ・システムが完成していますが、さらに特性向上を図る共に、まず工場内での搬送システムなど、小規模なシステムから実用化を図っていきたいと考えています。


龍谷大学理工学部
電子情報学科
石崎研究室

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