〔雑誌論文〕(計 7 件)
小堀 聡: タブラチュアについての認知研究, 日本リュート協会会報, No.33, (2019)
概要:本研究では,タブラチュア譜の記譜法についての認知研究として,2つのアプローチを採っている.まず,歴史的文献に基づいて リュートなどの記譜法の変化を調査し,その意味を認知的観点から検討する.次に,被験者実験を実施し,演奏データと視線データを分析, 評価することで,五線譜とタブラチュア譜の記譜法の違いが,記憶過程や演奏に与える影響を考察する.
小堀 聡: タブラチュア譜の記譜法についての認知研究, 日本音響学会音楽音響研究会資料, Vol.38, No.3, pp.19-24, (2019)
概要:タブラチュア譜では,通常の五線譜とは異なり,楽器固有の奏法を文字や数字で表示する記譜法が用いられる. 本研究では,タブラチュア譜と五線譜の記譜法の違いが認知過程に及ぼす影響について明らかにすることを目的とする. まず,認知的観点から,記譜法の歴史的な変化を検討し,タブラチュアの持つ二面性,すなわち, 直感的に理解しやすいという面と音楽構造を直ちに理解するのが難しいという面があることを示した. 次に,ギター演奏において楽譜の記憶実験を行い,アイカメラによる視線データと演奏データから五線譜と タブラチュア譜の記憶過程の違いについて検討し,タブラチュア譜では視覚的な記憶が五線譜よりも困難であることを示した.
小堀 聡: 楽譜の記憶過程についての検討―五線譜とタブラチュア譜の比較―, 人工知能学会第27回身体知研究会予稿集, pp.42-48, (2019)
Memorizing music experiment for guitar players was conducted. In the experiment subjects were required to remember musical score presented on a computer screen, and to perform memorized melody after the score disappeared. The fixation rates were calculated from eye movement data, and the recall rates were calculated from performance data. Using these evaluation data, the differences of memory processes between staff notation and tablature were examined.
ギターを対象にして,提示された楽譜をどこまで記憶し,演奏できたかということを評価する実験を行い,視線データと演奏データから五線譜とタ ブラチュア譜の記憶過程の違いについて検討した.
http://www.jaist.ac.jp/ks/skl/papers/sig-skl-20190318-09.pdf
小堀 聡: タブラチュア譜と五線譜の記憶過程の比較について―楽譜記憶実験による検討―, 日本音楽知覚認知学会平成30年度秋季研究発表会資料, pp.48-53, (2018)
筆者らはタブラチュア譜と五線譜の記譜法の違いが認知過程に及ぼす影響について検討しているが,ここでは,ギターを対象とした楽譜の記憶に関 する実験に基づいて,これら2つの記譜法の楽譜に対する記憶過程と演奏を比較し,検討した.提示された楽譜をどこまで記憶し,演奏できたかと いうことを評価する再現率を算出したところ,タブラチュア譜においても五線譜の場合と同様に,試行を重ねることにより再現できる小節数も増え ること,また,難易度が高い場合は再現率もかなり低くなることなどが示されたが,タブラチュア譜では難易度が高い曲での再現率の低下は五線譜 に比べて著しかった.
小堀 聡, 竹内 太郎: タブラチュア譜から五線譜へ―認知的観点からの記譜法の変化の検討―, 日本音楽知覚認知学会平成29年度秋季研究発表会資料, pp.23-28, (2017)
ヨーロッパ音楽において楽譜の役割は次第に変化していった.筆者らはタブラチュア譜と五線譜の記譜法の違いが認知過程に及ぼす影響について検 討しているが,本報告では,歴史的文献に基づいてリュートやギターの記譜法の変化を調査し,それぞれの時代において楽譜がどのように読み取ら れ演奏されたかについて,その意味を認知的観点から検討した.その結果,タブラチュアという記譜法には二面性,すなわち,直感的に理解しやす いという面と音楽構造を直ちに理解するのが難しいという面があり,その両方が記譜法や演奏の歴史に影響を及ぼしていると結論づけた.
小堀 聡: 五線譜とタブラチュア譜の違いが楽譜の記憶過程に与える影響について, 日本音響学会音楽音響研究会資料, Vol.36, No.2, pp.7-12, (2017)
タブラチュア譜では,通常の五線譜とは異なり,楽器固有の奏法を文字や数字で表示する記譜法が用いられるが,五線譜との相違は記譜の表現が単 に異なるということに留まらず,記憶や注意といった認知過程とその結果としての演奏自体にも影響すると考えられる.本研究では,ギター演奏に ついての被験者実験を実施し,演奏データと視線データを評価,分析する同時に,瞳孔径などを生理指標として認知的負荷を測定することで,五線 譜とタブラチュア譜の記譜法の違いが楽譜の記憶過程に与える影響について,認知的負荷や処理資源の配分の問題と併せて検討する.
Satoshi Kobori: Memorizing Musical Score Processes during Piano and Guitar Performance: An Eye Movement Study, Proceedings of The International Symposium on Performance Science 2015 (ISPS2015), p.110, (2015)